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仁宮 真紀さんーーー日本赤十字看護大学大学院 看護学研究科 看護学専攻 博士後期課程3年

【プロフィール】

仁宮 真紀(にのみや・まき)
岡山県出身。川崎医療福祉大学卒業後、旭川荘療育・医療センターに勤務。
2012年日本赤十字看護大学大学院看護学研究科看護学専攻修士課程修了後、心身障害児総合医療療育センターに勤務。
2022年日本赤十字看護大学大学院看護学研究科看護学専攻博士後期課程入学。小児看護専門看護師。

 

趣味:デパ地下巡り
座右の銘:「明日」は「明るい日」

 

実習での衝撃から重症心身障害児看護の世界へ

地元の大学に入学し、大学附属病院の小児病棟で看護助手のアルバイトや在宅ボランティアを通して、こどもたちと遊んだり、勉強を教えたり、登下校のサポートをしたりしていました。

 

3年生の小児看護実習で筋ジストロフィー病棟に行き、それまで見ていた「こどもの世界」とはまったく異なる世界があることに衝撃を受けました。

 

実習では見えなかったことをもっと知りたいと思い重症心身障害児看護に関わっていくことにしました。

 

そこからずっと重症心身障害児看護の現場一筋でキャリアを重ねてきましたが、ある時、とても尊敬していた当時の師長から「いろいろなところ勉強に行きなさい」というアドバイスを受けて、関東圏にある大学の小児看護の勉強会に岡山から参加するようになりました。

 

そこで毎回心打つようなコメントをする方がいて、その方が当時まだ日本で十数名しかいなかった「小児看護専門看護師」だと知り、私も小児看護専門看護師を目指したいと思ったことが大学院進学を考え始めたきっかけでした。

 

一冊の本との出会いが決めた進路

学部のときに図書館によく通っていた私は、ある日、筒井真優美先生(現在は日本赤十字看護大学名誉教授)の著書「これからの小児看護;子どもと家族の声が聞こえていますか」を見つけて、なんて素敵な先生なんだろうと思い、いてもたってもいられず日本赤十字看護大学に電話しました。

 

たまたま運よく電話に筒井先生が電話に出てくださり、いろいろなアドバイスを頂き、日本赤十字看護大学の研究生として1年間、小児ゼミを受講させていただくことになりました。

 

 

そこで、小児看護のさまざまなフィールドのデータが院生同士で取り交わされる場面を見て、小児看護を多角的に考えられると思い、修士課程のCNSコースへの進学を決意しました。

 

小児看護専門看護師になってからの数年間は在宅支援病棟に勤務し、レスパイトや在宅支援などの地域連携全般に携わりました。

 

「この子たちのために看護をやりたい」という熱き思いを持ったさまざまなバックグラウンドのスタッフと共に働くことができ、とても充実した日々を過ごしました。

 

その後は研修研究担当主任となり、組織での研修体制作りや現任教育に携わりました。

 

 

恩師との再会で博士後期課程への進学を決意

ある時、筒井先生と再会する機会があり「博士はどうなったの?」と言われたことをきっかけに「やるしかない!」とエンジンがかかり、博士後期課程進学のための準備を始めました。

 

その頃、看護系雑誌に看護実践の事例を執筆しており、ご家族から掲載の承諾をいただくやりとりの中で、ある重症心身障害児のお母さんから「医療的ケア児に関する法律ができても、私たちのことを知らない人がまだ多いからもっと広めてほしい」と言われたことがありました。

 

これまでの実践の積み上げの中で明らかになったことや、起こっている現象や、家族の日常を論理的に正確に世に伝えるためにはどうすればいいかを考えたところ、「研究しかない」という答えにたどりつきました。

 

「博士後期課程に進学しよう」と思った時期と、筒井先生に再会した時期がちょうど同じだったことで博士後期課程への進学の意欲が揺るぎないものになりました。

 

受験勉強で英語との付き合い方を知る

試験科目は英語、専門科目(小児)と口頭試問でしたが、専門科目は論述だったので、これまでの経験を携えて臨みました。

 

最大の壁だった英語は「興味がある分野の英語論文のアブストラクトを1週間に3本読む」ことを自分に課して、ひたすら取り組みました。

 

英語の必要性は今も身をもって感じていますが、最近はAIがあったり、学会で同時翻訳があったりするので、自分の頭も使いつつ頼れるところは頼り、世界の情報をタイムリーに知ることに前向きでいたいと思います。

 

博士後期課程のリアル

データを見て分析しながら書きまとめ、月1~2回のペースで、対面で指導を受けるスケジュールなので、それに合わせて自分なりのゴールを決めて達成できるように進めています。

 

論文提出まであと150日くらいとなり追い込み期に入っています。

 

小児看護学領域の博士後期課程は3年生が4人、2年生が2人です。

 

私は仕事を辞めてきているので論文に集中できますが、仕事と博士課程を両立する場合は修了まで4~6年必要だと考えておいた方が良いようです。

 

仲間と会える機会は決して多くはありませんが、ゼミで一緒に学んだり、日々サポートし合ったりしているのでチームワークがとても強くて、ありがたい存在です。

 

仕事は週1~2日で、大学院と両立することに困難を感じることはありません。

 

現在の職場の看護部長は小児看護専門看護師の第1号であり、一緒に働いている上司も小児看護専門看護師で博士後期課程を修了されていることから、私の現状を理解してくださり、とても恵まれた環境で働いています。

 

 

博士後期課程修了後のキャリア

博士後期課程への進学のきっかけとなった、重症心身障害児のお母さんからの言葉は必ず実現させたいと思っているので、それが終わってから今後のキャリアを考えたいと思っています。

 

博士後期課程修了後に進む道として選択されることが多い研究者や大学教員という仕事も社会に求められていることではありますが、臨床で手を動かしてこどもたちをケアしたい気持ちも大きいので、両立できるような道を模索したいと考えています。

 

”異次元のポジティブ”江本先生の魅力

研究指導教員は江本リナ先生です。

 

データ分析などの論文作成の過程において、江本先生が「これはどういう意味なの?」と穏やかに問いかけて的確にアドバイスしてくださるので、新たな視点に気づくことができます。

 

優しくて天使のような先生で「どんな時もポジティブに」という江本先生の心の持ちようをいつも感じています。

 

私もポジティブな性格ですが、江本先生はもっと上をいく異次元のポジティブさで接してくださり、どんな時もネガティブなことを言われないから頑張れるのだと思います。

 

院生を不安にさせない、教授なのに高い敷居を感じさせない、そうした江本先生の人となりから多くのことを学んでいます。

 

大学院進学を考える看護学生・看護職へのメッセージ

修士を修了して数年経った時に思ったことは、修士課程の2年間はとても貴重な経験で、今までの看護経験を振り返る時間だったということでした。

 

また、各領域で見ている世界が異なることから、多領域の院生と一緒にディスカッションすることで視野の広がりを感じることができました。

 

例えば、私のこれまでの失敗経験をゼミのディスカッションテーマとして取り上げて、みんなに振り返ってもらうと「こんな意味もあったんじゃないか」「そういう見方もあるしこういう見方もある」と言われて前向きになれました。

 

臨床に戻っても「精神看護のあの人はこう言っていた」「がん看護のこの人は、こんな風に言っていた」というやりとりを今でも鮮明に覚えており、先生方の話も加わって実践と結びつけることができ、自分の看護実践の枝葉が増えていくように感じています。

 

これまでの看護経験を振り返り、今後進むべき道の根幹を育むことができる大学院で、あなたも一緒に学んでみませんか。

 

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